離してよ、牙城くん。
3人の会話に、わたしの横で淡路くんと椎名さんが苦笑いしている。
「フッ軽だなあ、あいつら……」
「ほんっと、敵対してるってことわかってるのかなー……」
「良い意味でアホだよな、あの3人」
「まじでそれな」
天下の【狼龍】と【相楽】の取り合い……!
七々ちゃんはやっぱり人気者だなあ……、と心がほんわかしていたわたしにも、ついに飛び火はやってくる。
「祥華さんっ、俺、実はモモさんにひとめぼれしたんすけど! 誘ってもいいですか?!」
「待て、俺もなんだけど。ちょっとおどおどしてるのとかたまんなくね?」
「はっ、お前ら抜けがけやめろよっ、話と違うだろ!」
「ほわほわしてるモモさん可愛いっす!」
えええええ……っ、と戸惑うわたし。
たくさん褒めてもらってる……、んだよね?
【相楽】のひとたち、すごくいい人だ……。