離してよ、牙城くん。
それまで黙って聞いていた牙城くんは、小さく言う。
「俺は、あのときに百々ちゃんに出会ってなくても。ぜったい、百々ちゃんを好きになってるよ」
……もう。
照れることを真剣に言う牙城くんは、いつものペースだ。
嬉しい言葉のおかげで、まだまだ言いたかったこと、……忘れそうだよ。
「……うん、わたしもそう」
わたしも、牙城くんのこと、何があっても、ぜったいぜったい好きになってた。
その未来しか、考えられない。
きみと出会わない未来なんて、もともとなかったんだもん。
いままで、牙城くんにばかり愛をもらってきた。
愛が重いよ、って笑っちゃうときだってあったかもしれない。
でもね、今度はわたしの番。
牙城くん、覚悟しててよ。
わたし、たっくさん、牙城くんに……大好きって伝えるから。
わたしの言葉に、ぴくりと反応した牙城くん。
みるみる目が大きくなり、掠れた声で問うてくる。
「わたしもって、それって、百々ちゃ……」