離してよ、牙城くん。
動揺している牙城くんに駆け寄って。
揺れる銀髪の彼を、思いっきり、抱きしめた。
「──── 大好きだよ……っ、がじょーくん!」
ぎゅーーーっと、痛いほど抱きしめる。
その途端、牙城くん大好き、しか頭に残らなくて、愛おしさしかなくて、とにかく離れないように、強く強く彼を包んだ。
わたしから抱きしめる彼は、なんだか頼りなくて。
本当は繊細で弱いんだよなあ……、と、自分だけが知っている牙城くんに、また愛おしさが増す。
こんなに素敵な人に、愛されていたんだ。
逃げていてばかりのわたしが、情けない。
早く、気づけば良かったのに。