離してよ、牙城くん。
ひとりで唸っている牙城くんをちらっと盗み見る。
やべーやべーと泣いている彼を見たら……、緊張なんて、どこかにすっ飛んで。
もう……、それでこそ牙城くんだ!と、また強く、抱きしめたんだ。
「幻聴じゃないよ……っ、ほんとに、大好き。牙城くん」
「…………なあ、まじで? これで嘘とか言われたら俺、もう本気で立ち直れない」
それくらい、わたしのこと、好きでいてくれてるって……うぬぼれてもいいかな?
「本当に本当っ! 牙城くん、信じて……?」
そっと身体を離し、目を合わせる。
牙城くんを見上げたわたしに、彼は美麗な顔を少し歪めて、「ももちゃん、好き」と突然の告白返しをしてくる。
「百々ちゃん、ほんとに好きだよ。もう、好きとか超えて大好き、愛してる」
「……うん、わたしも」
「…………百々ちゃんの“わたしも”の破壊力に俺、まじで涙出そう」