離してよ、牙城くん。
涙よりも、笑顔が見たい。
わたしがそう言えば、牙城くんは、さっきのわたしのように、ぎゅっとわたしを、広い腕の中で包みこむ。
「あー……、俺、いま人生でいちばん幸せかも」
「ええっ……」
「もうさ、俺、まじで百々ちゃんしか世界にいなくていいと思ってるし、何度も言ってるけど、なんなら百々ちゃん監禁したいって常日頃考えてるよ」
「つ、つねひごろ……」
しっかり真顔だから、笑えない……。
とんでもない人に捕まっちゃったなあ……って思うけれど。
やっぱりね。
それくらいの溺れて苦しいくらいの愛が、牙城くんの愛が、わたしは必要だったんだ。
「……監禁は、さすがに、無理だ、……けど。
わたし、牙城くん以外の男の人なんて……見ないから、安心していいよ……?」