離してよ、牙城くん。




目を薄く開けて見た牙城くんは、色っぽくて。

濡れた唇が、恍惚で。


瞳は、餌を見つけた獣のように爛々と光っていた。




角度を変えて、何度も何度も繰り返されるキス。


牙城くんは止めてくれる気配などなくて、わたしも止めようともしないで、噛みつくようなキスを受け入れていた。





「がしょ、くっ……も、むりっ……」


「……ん、もう無理なの? あとちょっとね」




「う……、いじわ、る、んっ……」


「そーだね、俺、もー我慢できないから」





ごめんね?って言う彼は、まったく悪びれもなく。


わたしが彼の胸を激しく叩くまで、……永遠と解放してくれなかった。





終わったあとに、はあはあと荒れた息をするわたしに、牙城くんはうっすら笑う。






< 352 / 381 >

この作品をシェア

pagetop