離してよ、牙城くん。
好きすぎてたまらない
【渚side】
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「……椎名、まじで百々ちゃん可愛すぎるんだけどどうしたらいい?」
「は? なに、知らねえし、俺に聞くなってば」
第3土曜日。
【狼龍】の集まりの場で、総長と副総長、つまりふたりだけの部屋で椎名に問いかけた。
スーツを着せられ、息苦しい。
今日も【相楽】が【狼龍】を倒そうと舌を巻いているという話題を永遠と続けなければならない。
めんどくせえな、と息を吐く。
いつまでも【狼龍】撲滅に執着する景野の、うさんくさい表情が目に浮かぶ。
……ほんっとさあ、そろそろ景野、諦めろよ。
そう思う俺だけど、百々ちゃんのことを考えたら頰がゆるんでしまうわけで。
冒頭のように問いかけた俺に、椎名は心底嫌な顔をした。
どうでもいい、と言われている気がして、ムッとする。
だけど、椎名と口げんかしたいわけでもないし、それは時間を食うので、とりあえず言いたいことをペラペラと喋ることにした。
「でもなあ……、最近百々ちゃんを七々に取られて最悪なんだけど……」