離してよ、牙城くん。




……俺が、寂しいだけなんだよなあ。


ほんっと厄介な男だな、俺、と改めて自嘲しながら、ため息をつく。


そんな俺に、椎名はスマホを見ながら声をかけてくる。






「なあ、ナギくん」


「……なに? いま百々ちゃん不足で半ギレの俺で良いならドーゾ」




「オレの花葉が可愛いって話でもする?」


「まっじでいらねえ」





そういや、こいつら付き合ったんだっけ。

あんまよく聞いてないけど、そうだったような気もする。



椎名と橘の組み合わせは異色のような気もするけれど、まあ、ふたりが良けりゃ、なんでもいいと思う。



なにより百々ちゃんが椎名たちのことを嬉しそうに話してくれるのが可愛いから、俺としてはなんの問題もない。






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