離してよ、牙城くん。
「ナギくんは自分勝手なこと」
ケラケラと笑いながら俺をちらりと見た椎名。
白に近い金髪が、ただ色素が抜けて面倒だから放置しているだけだということは、俺しか知らない。
オンナって面倒だよねえって毎日のように嘆いていたプレイボーイが、こんなにも一途になって驚いているのも、きっと俺だけ。
橘、こんな椎名みたいな男と付き合って大丈夫か心配なんだけど……、とはじめは思っていたけれど。
幸せオーラ全開の椎名を見れば、そんな不安もいつしかなくなっていた。
喋ることもなくなり、室内には沈黙が続く中。
コンコン、と扉をノックして、入ってきたのは紫苑と廉だった。