離してよ、牙城くん。
『えっ、でも……そんな大役、俺らがやってもいいんでしょうか……?』
七々、と言った途端、嬉しそうに目を輝かせる紫苑とは対照的に、廉はおずおずと尋ねてきた。
……廉は、ほんと、……椎名みたいな男だよなあ。
冷静にものを見て、猪突猛進タイプの紫苑を、支えている。
やっぱり、俺らのあとはふたりしかいないなあ、と思いながら、うなずいて。
『言ったじゃん。紫苑と廉がいい、って』
七々を呼ぶなんてこと、ふたりからすれば恐れ多いことだったのかもしれない。
それでも、時間どおりに七々向かわせてくれた彼らに、感謝していた。
「俺も……、俺らなんかでいいのかって思ったんですけど。
渚さんが信頼してくれてるって思って……、とても嬉しかったです」