離してよ、牙城くん。



椎名に突拍子もなく尋ねると、呆れたように目を細められる。




「……ナギくんさ、ちょっとはモモチャン離れすれば?
あんまり重いと嫌われるよ」


「百々ちゃんは、重くても俺が好きなの。心配ご無用」


「…………そのよゆうはどこから来るんだよ」




はあーっと長いため息をついた椎名は、頬杖をついて考え込んだ。


俺が総長らしくないせいで、いつも椎名が族をまとめてくれているのは、ちゃんと感謝している。

これからは、柄にもなく恩返ししたいなって考えてるけれど……、百々ちゃんのことになると別。




椎名もそれがわかっているのだろう、もう諦めた様子で言い放った。







< 372 / 381 >

この作品をシェア

pagetop