離してよ、牙城くん。
「もーもーちゃーん」
俺、まだ足りないよ?
そんな目で訴えかければ、百々ちゃんはさらに顔を赤くさせる。
「ううっ……、でも、こんなところじゃさすがに……」
「さっきしたじゃん」
「あれはっ……、ちがうのっ!」
こんな可愛い百々ちゃんをみたら、またいじわるしたくなる。
でも、さすがに苛めすぎたらすぐに嫌われそうだから、このへんにして。
そっと、俺よりも小さい手を取り、ぎゅっと包み込んだ。
「なら、俺の家でも来る?」
にっ、と笑った俺に、百々ちゃんはこくりと恥ずかしそうにうなずいた。
それだけで、俺はノックアウト。
ほんっと可愛いね、って呟けば、百々ちゃんは、もうっ……と、そっぽを向く。