離してよ、牙城くん。
「……もう、離さないでね? ……渚、くん」
破壊力抜群の名前呼び。
嬉しすぎて混乱しすぎて悶絶している俺を、百々ちゃんはさっさと置いていく。
耳が赤いから、照れてるんだろう。
俺を喜ばせようとしてくれたんだって。
それでさえも、大好きで、もうそれしか思い浮かばなくて。
あーもう……、降参。
俺、死ぬほど百々ちゃん大事にするよ。
だから、おとなしく俺に愛されてね、百々ちゃん。
「……ん。あたりまえ、……ね?」
もう無理っていっても、離してあげない。
だれかに欲しいって言われても、あげない。
それくらい、俺を夢中にした百々ちゃんがわるい。
もう、可愛すぎる百々ちゃんが、俺を好きなのがわるいんだって。
「牙城くん、大好き」
こんなにも愛おしくて健気な彼女を。
強く強く抱きしめて。
呆れられながら苦しいよって言う百々ちゃんに、我慢しきれずキスを落としたのは言わなくてもわかる話。
Fin .