離してよ、牙城くん。
「ほら、戻ろ……!」
照れ隠しに、焦って促すと、牙城くんは「ハイハイ」と変な返事をして屋上の扉に手をかける。
開けられた扉からささっと階段を降りようと思ったら……。
「……ちょっとだけ、ちょうだい」
ふわりと柔らかい言葉が落ちてきたと察知した瞬間、
──── 頰に、牙城くんの唇が、当たった。
、?!
…………クチビルガ、アタッタ……?!
「百々ちゃん補給完了〜」
「ががががじょーくん?!?!」
「ががが、って工事現場かよー」
「んなっ……!!」
「これで、俺が授業受ける気出るなら、いいっしょ?」
「んぐぅ……、よくないっ」
「ケチケチ百々ちゃんだね〜。減るものでもないのにさ」