離してよ、牙城くん。
そういう問題ではないんです!!
「ってか、真っ赤」
くすくすと、今日 何度めかわからない笑みを浮かべて、牙城くんはわたしの頰を手で冷やした。
「……100めーとる、」
恨みがましく小さく呟いたら。
「はいはい、100ミリで我慢してね」
「〜〜っ」
軽くあしらわれて、躱された。
また、わたしの負けだ。
最近、よく思う。
──── わたしは、牙城くんにはぜったいに勝てない、って。