離してよ、牙城くん。
しいな、……って、さっきの電話でも話題になってたひとだよね。
きっと、牙城くんの仲間だ。
それも、さっきのひとより親しい感じ。
『なにってさぁ、なんで来ねえのさー、ナギくん』
いかにもチャラそうな、(声だけだからすごい偏見だけど)、鼻にかかった特徴的な男の人の声が聞こえる。
「なんでって、お取り込みちゅーだから。
つうかしょうもねえことで電話かけてくんな」
即座に通話を切ろうとした牙城くんに、その様子が見えているように声を滑り込ませる相手の 椎名さん。
『ナギくんさー、いちお【狼龍】のトップなんだから、ちょっとの顔出しぐらいしてくんないかね?』
「めんどーだし、いまガッコだし」
『へえ??ナギくんがガッコちゃんと行ってるとか笑うんだけどぉ』
「しね」
『ええ、物騒!
……とまあ、茶番は置いといてさぁ、』