離してよ、牙城くん。
え、と思うひまもなく少し開いていたわたしの口に、なにかが入れられた。
……?!
甘い葡萄味。……これって。
慌てて牙城くんの袖をグイッと引っ張る。
「が、がしょーくん?!?!」
「ちょ、百々ちゃん落ち着いて。
俺の鼓膜まじめに破れそーだ」
「か、かかかんせ、キ……!!」
「ハイハイ、間接キスな」
「……〜〜もうっ」
牙城くんの棒つきキャンディ。
まさかの……関節キス。
甘すぎて、口の中も頭の中もどうにかなりそう。
こんなこと、慣れてないからどう反応すればいいのかわかんないよ。
「クラス違うけど、その味のおかげで俺のこと忘れらんないでしょ」
「だからって、こんな……っ!」
「こんな、なに?」
「牙城くんのばかたれ!!」
「百々ちゃんに侮辱されんのもわるくないね」
「……(ダメだこりゃ)」