離してよ、牙城くん。


こんな恥ずかしいとしなくても、牙城くんの毒牙のおかげで忘れたくても忘れられないんだよ。


ほんとにほんとに、牙城くんはわかってない!



赤くなるわたしの横で、彼は平然としていて。




「キスの予行練習的な?」


「……っ?!も、だまって……!」



「ウブだねー」


「……っ」




もう、やだ!


これ以上いっしょにいてもからかわれるだけだということにいまさら気づき、怒って立ちあがった。



スカートを整えてると、牙城くんは座ったまま、上目遣いで話しかけてくる。




「ねえ、百々ちゃん。お願いなんだけどさ」


「な、なに……?」



思わずすこーし距離を取る。




「……そんな構えられても。
俺、信用ねえなぁ、」




あたりまえだよ!

牙城くんは前科がありすぎる!






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