離してよ、牙城くん。
「いや、実は……」
淡路くんからなぜかこんな連絡が来たんだよね、と花葉に伝えようと思った
────そのとき。
「よっす、朝倉さん」
わたしの頭上に聞こえる声。
「んええ?! 淡路くん、え、なんで……?!」
メッセのやり取りをして、ものの数秒。
わたしの後ろににこにこと立っている淡路くんに仰天して、うるさいほど大きな声で叫んでしまい、慌てて口をつぐんだ。
わたしの目の前で花葉も、状況が把握しきれていない様子で目をぱちぱちさせている。
まさか……、つけてたとか?!
嫌な予感にゴクリと息を飲むと、淡路くんは持ち前のさわやかな笑顔で口を開いた。
「俺もここ、来てたんだよねー」
「えっ、……そうなの?」