離してよ、牙城くん。
男ふたりでスイパラ……?
偏見は良くないかな、と思いつつも首を傾げてしまう。
淡路くん、甘いの好きなんだ……。
名前も、甘(えみ)くんだもんね。
クラスメートの意外な一面を見れてほっこりしながら、花葉と「つぎどこ行く?」と話し合うことにした。
いまの時刻は午後5時半。
そこまで遠くには行けないな、なんて呑気なことを考えていたけれど。
わたしは、ほんとになにも、気づいていなかった。
どんどん、真っ暗の闇がすぐそこに近づいているということに。
牙城くんの忠告も忘れて────。