離してよ、牙城くん。


「牙城くん……。ごめんなさ、」


「許さない。なんで俺以外の奴に触られてんの?っつーか、忠告忘れるとかどんだけバカなの?」




「え、あ……の、」


「俺が来なかったら百々ちゃんみたいなの取って食われてハイおしまいなのわかってる?まじで」




「……っ」



「言っとくけど、俺のまわりはそんなんばっかだから。
土日は俺に会ってはいけない、の意味。
……俺と会うってことはぜったい、百々ちゃんが危険な目にあうってことなんだよ」




お約束三か条のみっつめ。


朝倉百々は休日に牙城くんに会ってはならない。






この約束の意味が、そんな理由だったなんて。


どうしてだろう、こんな状況なのにキュンとしちゃった。

牙城くんは、怒ってるのに。



……よくない、わたし場違いだ。







どうしたらいいんだろう、と唇を噛み締めて俯いていると。





「あれ、ナギ〜?
まさかおまえも“女狩り”やってんの?ヤバ」








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