また、世界が輝き出す
朝。カーテンから差し込む光が、僕に起きろと急かしてくる。
また今日も、退屈な日々が始まる。
僕はのそのそとベットから身を起こし、大学に行く為の身支度を始める。

身支度が終わり外に出ると、ジワジワと汗が滲み出る感覚がした。初夏。
雲ひとつ無い澄んだ空を見ても、なんの感情も生まれてこない。
ただただ、退屈。別に、昔からこうだった訳じゃない。楽しみを、大切なものを失ってしまったあの日から僕は、生きる屍のようになってしまった。
何も思わない。思えない。
まるでモノクロの世界に居るように、色が見えない。綺麗なものも、汚いものも、僕には一緒に見えてしまう。

そんなことを考えながら道を歩いていたら、足にコツン、と何かが当たった感覚がした。下に目をやると、それは古びた一眼レフだった。
その瞬間僕は、僕が感情を失ってしまったきっかけになったあの出来事が、脳裏にフラッシュバックした。
< 1 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop