わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)

「違うよ、親戚が危篤なんだって」
「ほんとかあ? 清川はセカンドで、本命彼女がいたりしてな」
「うるさいなっ! 集中できないから黙ってて」

 その後も、先輩達からもからかわれるし、先生にも心配されるし、何だか疲れて昼下がりにはもう帰る支度をした。附論は全然進まなかった。

 外に出ると、空は雲もなく晴れ渡っていて、風がとても冷たい。今朝テレビで見た天気予報によると、今日の最高気温は十一度。夜には二度まで下がってしまう。

 二度って冷蔵庫(五度)より寒いじゃん! チルド室の温度じゃん!!
 大寒波でも来ない限り冬でも比較的温暖な「晴れの国おかやま」県南部出身の私には、底冷えする京都の寒さは苦手だった。ぷるぷる震えながら自転車置き場へ行き、手袋を出そうとして、どこかに落としたことに気づいた。

 手袋無しで自転車とか凍えるわ!!

 半ば自棄(やけ)になってきた私は、もう自転車は置いてバスに乗って、飲んで帰ることにした。ひとりでチキンをむさぼり食ってやろうかとも思ったが、胃もたれしそうなのでやめた。
 街はカップルだらけで、キラキラ眩しい。正直言って羨ましい。私も宮燈さんに会いたい。
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