わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)

 駆け寄りながら(あ、ここまで丁寧に持ってきたのに、ケーキ多分片寄ったな)と思ったが、それより早く顔が見たかった。宮燈さんは相変わらず無表情だったけど、私を見てほっとしてるのがわかる。

「宮燈さん? どうして?」
「何度も連絡した」
「えっ?」

 しまったと思ってスマホを見ると何件も着信していた。
 マナーモードにしていたとはいえ、なっちゃんとのおしゃべりに夢中になって気づいていなかった。

「君はまた……」
「ストップ、ストップ! 宮燈さん!」

 怒られるのは覚悟したので、宮燈さんの言葉を遮って手を握ったら、とても冷たくて申し訳なかった。いつから待ってたんだろう、約束通り家の中には入らずに。

「体が冷えてます。とりあえず家に入っ……」

 見上げたらぎゅっと抱き締められた。宮燈さんの匂いがして胸が苦しくなった。ドキドキしてると呟くような宮燈さんの声が降ってきた。

「会いたかった」

 腰が砕けるってこういうことかー! と、私は足に力が入らなくなって、幸せすぎて体がふわふわしているのを感じていた。
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