わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)

 宮燈さんが髪を撫でるから、夫の胸に顔を寄せた。腕を背中に回してぎゅっと抱き締めてから私は言った。

「……早くしたい」

 酸欠で頭がぼんやりしてるから、本能のままに体を摺り寄せていた。なのに、非道な夫は私に言う。

「まだ駄目だ。お仕置き」
「やだ。して欲しい……」
「君はまた、私を忘れていただろう? 次は許さないと言ったはずだが」
「忘れてないよ! だって今日は会えないと思ってたから……。宮燈さんこそ、私のこと……忘れてるくせに」
「私が?」

 宮燈さんを見上げると同時に、私は首筋に痛みを感じた。

「ああっ……んっ、あ」

 首に痕がついたんじゃないかと思う程のキスをしながら私を抱き締めるから、ぞくぞくして気持ちよすぎて、怖くて体が震えた。

「私が君を忘れる?」
「れん、ら、く……しても返して、くれないくせに」

 ゆっくり奥までくるその質量に、下腹部が重たくなって思わず喘いだ。動けなくて快感を逃せないから、少しだけ上半身を捩ると、当たる場所が変わって全身が跳ねた。
 宮燈さんが見下ろしながら少し笑う。私が苦しんでるのを歓んでる。

「はぁ……あっ、ああっ!」

 奥まで攻めながら私の口を塞いでくる。うねって宮燈さんに絡み付く。気持ちよすぎて、何も考えられなくなって、ひたすら唇を貪っていた。
 息苦しいけどずっとこうしていたい。混ざる唾液の音が淫猥で、耳まで犯される。
 ちゅ、と音がして唇が離れてほっとした。力が入らないから目を閉じていると宮燈さんが私を抱える。

「いや、無理っ! 足に力が入らないから」
「桜は大丈夫」
「また勝手なことを……んっ!」

 宮燈さんが体勢を変えて、私を自分の上に乗せる。思わず大声で喘いで恥ずかしいから、くっと息を飲み込んだ。頭が重くて体が怠いのに、無理矢理に上半身を起こされている。でも多分、許してもらえない。
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