わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)
橘部長は無表情のままタクシーに乗り、私を自宅に連れ込む。中目黒の何とかタワーだ。テレビでみたことあるよ、これ。芸能人がたくさん住んでる所だよね。
心のどこかで期待のような予感があったから、橘部長が無言のまま私の服を脱がせても、抵抗なんかしなかった。
抵抗はしなかったけど、少し怖かった。
経験がなかったから。
勉強が好きで楽しくて、生まれてから此の方、彼氏が欲しいと思った事は一度もない。……いや、無くはないが、強く思いはしなかった。高校の時に申し込まれてお付き合いもしてキスくらいはしたが、デートに時間を割かれるより、本を読みたかった。
ベッドの横で全裸で立たされてる私は素直に言った。
「ちょっと怖いです」
自分でドン引いたくらい、声が震えてた。
すると、橘部長が「初めて?」と聞くから、私は頷いた。
私は頷いた。私は処女だと申告したのだ。
なのに、橘部長はとんでもなく酷いことを言った。
「なら、君がいいように、好きにしなさい」
橘部長は無表情のまま、ベッドに腰かけて、立ってる私を見ている。
え、普通は逆だろ、相手が初めてなら優しく抱くんじゃないの?!
どうすりゃいいの?!