わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)
朝からご親戚の事でバタバタしてたんだろうな。そう思いながら、慌ててすぐそばのキッチンへ立つ。コンロが一口しかないから、冷凍のスープをお鍋で解凍して、ご飯を電子レンジで温めた。ただのコンソメスープだし、料亭の味には敵わないだろうけど。
キャベツを刻んで入れようかなと冷蔵庫を覗いてると、急にひょいと抱えられた。とっさに冷蔵庫の扉を閉める。宮燈さんが私をベッドに放り出した。
私が「あ、火、つけっぱなし」と呟くと宮燈さんが火を消しに行き、戻るなり言った。
「そんな格好で料理するとか誘ってるとしか思えない」
「ええー? 言いがかりです!」
「せめて何か着ろ……」
「それは確かに! うひゃあ!」
うつ伏せにされて、背中を愛撫され、くすぐったくて叫んだ。胸を揉まれて指先で先端を弄ばれてゾクゾクする。
「ああっ……んっ」
また大声で喘いでしまって恥ずかしいから、私は肘をついてシーツを噛んだ。少しだけ腰を浮かせてると、後ろからゆっくり犯される。恥ずかしくて身を捩ったけど、逃げられなかった。
「んっ……んっ、っ……」
ゆるゆると体を重ねて、揺れる乳房を包むように揉まれて背がのけ反り、ますます奥まで擦れ合う。
「あ、あの、これ、なんか、きもちい……」
えーとえーと、これは寝バックかな? するのは初めてじゃないけど、前は確か婚姻届を出した日で、ずっとイキっぱなしみたいな状態だったから、あまり記憶がない。
肌が重なってるの気持ちいい。私は自分でも驚くほど簡単に達してしまい、全身に力がはいらなくなった。横たわる私を仰向けにしてゆるゆるとまた攻めてくる。
「あっ……あぁ、もうだめ、宮燈さん……」
私の顔の横に、宮燈さんの綺麗な手。
その手に自分の指を絡める。
私は何度も絶頂していた。もう頭おかしくなってる。喘ぐことしか出来ない。
宮燈さんが動くたびに私も腰を揺らしては、シーツがどんどん乱れていく。
私の手を握って、耳元で宮燈さんが喘ぐ。一番奥で夫を受け入れて、私の心臓と下腹部が締め付けられた。私はとても幸せだった。
多分、人生の中で一番幸せだった。夢みたいだった。
だから、年が明けて、宮燈さんが他の女といる場面を目の当たりにして、私は「ああ、夢オチかあ。幸せだったのは夢で、これから目が覚めるんだろうなあ」と思っていた。