わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)

13. 橘部長がまたマ……?

 稲佐山のホテルに戻り、部屋に入るや否や、宮燈さんがスーツのジャケットを脱いだ。無言でベストもシャツも脱いでいくから、「えええええっち!!!」と私が叫んだら「これしかないから短時間仕上げ(エキスプレス)でランドリーサービスに出すだけだ……」と呆れられた。

 そういえば宮燈さんって、たいていカードと携帯しか持ってない。私はさっき、戻る途中に自分が宿泊していたホテルに寄ってもらって荷物を取ってきたからいいけど、宮燈さんは着替えがないし、もうお店も開いてないから当たり前か……。
 さっき出掛ける前にしてたことを思い出した私が悪うございました、すみません。


 先にバスルームを使わせてもらったけど、アメニティがブルガリで「ブルガリってあのブルガリなのか……そうかこれがブルガリか……」と私にはイマイチありがたさが分からなかったが、多分すっごい高いんだろうなとは思った。

 窓から見える夜景もとても綺麗で、湯船にお湯を張ってしばらくぼんやりと眺めていた。長崎港を囲む山の上まで家が建っているから、小さな港町は光るおもちゃ箱みたい。

 家の灯りひとつひとつは誰かが生きている証なんだなあと思うと、私を見つけてくれた宮燈さんに感謝しなくちゃなと思った。

 しかし何故、スマホの電源を入れただけで位置情報がわかるのか……。一度、宮燈さんにスマホを預けたことがあるから、あの時何かされたんだろうな……と思ったが考えないことにした。別にやましいことないし、今回みたいに行方不明になったとか、火急の時じゃないと見ないだろう、多分。多分ね。
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