わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)

 私がソファに座ってお水を飲んでいると、バスルームから出てきた宮燈さんは冷蔵庫からスパークリングワインを出してきてグラスに注いでいる。いつもあまり飲まない方だから珍しいなあと思った。

 そんなに大きくないソファだから、隣に座ってると体温を感じてしまう。改めて二人きりでいることが恥ずかしくて、私は聞かれてもないのに、今日見学したグラバー園の事を話した。

「グラバーさんは追われていた高杉晋作や伊藤博文を隠し部屋にかくまったりしてたんですよ、私全然知りませんでした! 商人のイメージだったのに、明治維新の土台を作ったのかと思うと、何だか印象が変わりました」

 私の話を、時折相槌をうちながら宮燈さんが聞いてくれる。ワインのボトルが空になる頃には私の話題も尽きてしまって、ついに宮燈さんから抱き締められてキスされた。

「なんか、改めてって思うと恥ずかしいんですけど」
「もう何度もしてるのに?」
「……そうですけど……」
「桜はどうして欲しい?」
「……どう……って、優しく、してください……」

 宮燈さんはワインに酔って、この雰囲気にも酔ってる気がする。声が甘ったるい。
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