わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)
私が宮燈さんをぎゅーっと抱き締めたから、宮燈さんが笑った。
「君の胸で窒息死するのはいい死に方かもしれない」
「あわわ、ごめんなさい。ねえ宮燈さん、私、お料理教室に通ってもいいですか?」
「構わないが?」
「私、頑張って宮燈さんよりお料理上手になって、たくさん『美味しい』って言わせますね! 期待しててくださいね!」
私がそう言うと宮燈さんは「楽しみにしている」と言って、とても優しく頬にキスをしてくれた。杉岡さんも言ってたけれど、きっと私たちはよく似ている。私も、自分さえ我慢すればいいと思っていた。
「私の足りない何かを埋めてくれるのは、君しかいない。愛してる」
「ありがとう、宮燈さん。私も愛してます」
内々定通達の日、宮燈さんに「愛が足りない」と言ったのは私。そして、何故かわからないけど、宮燈さんに愛が足りないなら、私が補いたいと思った。
結局、性愛に溺れている私たちは、朝ご飯を食べるのが遅くなってしまった。朝食の後で宮燈さんが言った。
「チェックアウトを遅くしたから」
もともとここはロングステイを楽しむためのホテルで、通常のチェックアウトも十二時と遅め。レイトチェックアウトにすると十四時。「えええええっち!!!」と叫んでる私は、また宮燈さんにひょいっと抱えられてベッドに放り出された……。