わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)
あれこれ体位を試されて、何度も絶頂させられて、疲れきって「ほんとに死にます! やだ!」と拒否してやめてもらった。
時計を見れば、八時過ぎ。九時半の新幹線だから、見送る支度をと思ってフラフラしながらベッドをおりようとしたら、腕を引かれた。
「お見送りしたいから、もう準備しないと」
「許されるならもう一度抱きたい。ここで休んでくれて構わないから」
淡々とした声。他人が聞いたら感情が無いと思うような宮燈さんの声。
でも私は知っている。こんなに熱を込めて頼まれたのは初めてだ。ベッドに戻って、横たわって私を見ている宮燈さんに口づけた。
「もう……仕方ない旦那様ですね」
私が笑うより前に、宮燈さんが笑った。
え、大好き。
"お願いされた最後の一回"が終わっても、ずっと二人でベッドにもぐり込んでいた。
「もう一度『好き』って言ってください」
「……いやだ」
「もーなんで? いいじゃないですか! 減るもんじゃないのに!」
さっきの告白以降、宮燈さんは全然『好き』と言ってくれない。
「わかりました。いいです。毎日『好き好き』って言いたくなる位惚れさせてやるから!」
「……もう十分好きなのだが」
「はっ! 今言いました? しまったーー! 録音しておけばよかった!!」
騒いでいると宮燈さんの電話が鳴って、『もう義仁さんは支度が済んだで。ええ加減母屋に来てくれへん?』とお母様が電話の向こうで怒っていた。