わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)
幕間 桜さんの彼氏
土曜日はいつものごとく、昼間から家族連れなどで寿司屋の店内は賑わっていた。遅い昼休憩のために休憩室へ行くと、塩見さんが椅子を二つ占領して寝転んでいた。
「さとちゃんお疲れ~」
佐藤夏海という名前から、皆から「なっちゃん」と呼ばれているが、この人は名字で呼ぶ。
お疲れ様でーすと返して、ロッカーのバッグからスマホを出そうとしていると、桜さんも休憩室に来た。
「あー! 桜ちゃん~お疲れ~!」
塩見さんがへらへらと笑っている。分かりやすい。塩見さんは、桜さんだけは名前で呼んでいる。金が無くなるとヒモのような生活をするダメ人間のくせに、桜さんにだけはやたらとお小遣いをあげたり、ジュースを奢ってやったりと、大変分かりやすい。
「久しぶりやん、桜ちゃん。最近全然シフト被らへんなあ」
「私、週五から週二に減らしてもらったんですよ」
「え?! そうなんや。シフト表見てへんかったわ」
自称パチプロだから、ここのアルバイトはどうでもいいんだろうな、と呆れつつ、私も補足説明をしてあげた。
「そやさかい、新人さん二人入るやん? 夏休みいっぱいで、桜さん、辞める予定ですし」
「ほんまに?」
急に塩見さんが真剣な顔になった。びっくりした。この人、本当に桜さんが好きなんだ。
「卒論準備に本腰入れたいんです」
「仕送りあらへんのやろ、大丈夫なんか?」
お前こそ貯金ねーだろ、二十六歳にもなって人生設計大丈夫なのかよと心の中でつっこみつつ、そこも私が補足した。
「大丈夫ですよね~! 彼氏さんがお金持ちやさかい!」
「え……何? 彼氏出来たって、噂、ほんまなん?」
桜さんは言葉を濁して笑っていた。
「さとちゃんお疲れ~」
佐藤夏海という名前から、皆から「なっちゃん」と呼ばれているが、この人は名字で呼ぶ。
お疲れ様でーすと返して、ロッカーのバッグからスマホを出そうとしていると、桜さんも休憩室に来た。
「あー! 桜ちゃん~お疲れ~!」
塩見さんがへらへらと笑っている。分かりやすい。塩見さんは、桜さんだけは名前で呼んでいる。金が無くなるとヒモのような生活をするダメ人間のくせに、桜さんにだけはやたらとお小遣いをあげたり、ジュースを奢ってやったりと、大変分かりやすい。
「久しぶりやん、桜ちゃん。最近全然シフト被らへんなあ」
「私、週五から週二に減らしてもらったんですよ」
「え?! そうなんや。シフト表見てへんかったわ」
自称パチプロだから、ここのアルバイトはどうでもいいんだろうな、と呆れつつ、私も補足説明をしてあげた。
「そやさかい、新人さん二人入るやん? 夏休みいっぱいで、桜さん、辞める予定ですし」
「ほんまに?」
急に塩見さんが真剣な顔になった。びっくりした。この人、本当に桜さんが好きなんだ。
「卒論準備に本腰入れたいんです」
「仕送りあらへんのやろ、大丈夫なんか?」
お前こそ貯金ねーだろ、二十六歳にもなって人生設計大丈夫なのかよと心の中でつっこみつつ、そこも私が補足した。
「大丈夫ですよね~! 彼氏さんがお金持ちやさかい!」
「え……何? 彼氏出来たって、噂、ほんまなん?」
桜さんは言葉を濁して笑っていた。