わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)

 いや、私も結構なスピードで走ってたんですけど?!
 どんだけ早いの? これならゾンビからも余裕で逃げられるんじゃない? って今はそんな事は関係ない。
 そのまま引っ張られるから、連行されてる宇宙人みたいになってたと思う。

「離してください!」
「大きな声を出さないで欲しい」

 無理矢理エレベーターに乗せられて、どこかの部屋に連れ込まれた。明かりの無い部屋で抱き締められた。何がなんだか解らない。

 ジャケットを脱がされて、ベッドに押し倒される。ボタンが飛んでいったんじゃないかと思ったくらい乱暴にシャツを脱がされて、顕になった胸にキスされた。

「は……あっ……宮燈さん! やだ!」

 宮燈さんは、片手を背中にまわして器用に下着を外す。私の胸に少しだけ歯を立てて、柔らかくて温かい舌で潰すように強く愛撫するから、声が出てしまって、咄嗟に両手で口を塞いだ。
 誰がいるかわかんない会社の研修所で喘ぎ声なんか出せない。それなのに、宮燈さんはお構い無しに吸い付いてる。

「んっ……んん……っ」

 息苦しい……でも気持ちいい。もうひとつも強めにかりっと指で愛撫されて、思考がとまる。

 このまま抱いてほしい。
 蕩けさせてほしい……って! だめだめだめ!
 私はもう挨拶して抜け出したけど、宮燈さんは多分まだ仕事中だし、早く戻らないと吉岡が変に思うだろう。

「ねえ、みや……橘部長! だめ、仕事に……」

 そう言いかけて抵抗してる私を無視して、宮燈さんは両手を押さえつけて口を塞いできた。私は泣きそうになっていた。

 宮燈さんがキスしてくれた……?

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