わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)
声を出さないように、なんて出来るのかな。心配していたら、またキスされて、耳から首に舌を這わせてくる。鎖骨も舐められてくすぐったい。そう思っていたら、鎖骨の下をきつく吸われた。ちりっとした痛みを感じて小さく悲鳴をあげた。
「痛……な、に?」
「痕を」
「……あと?」
「そばにいたら忘れないように毎日刻み込むのに。こうして」
今度は腕を吸われた。また少し痛い。見ると鬱血してるから、ああこれがキスマークかあと思っていた。わざわざ他人の身体に痣をつけるなんて酷い、意味わかんないって思ってたけど、自分がされて初めてわかった。
目に見える形で、印をつけておきたいんだ。
これを見て私は宮燈さんに縛られて、宮燈さんは独占欲が満たされて安心するんだろう。
結婚してからも「私の事だけ考えて、私だけを見て欲しい」と繰り返し言われていた。特にセックス中に言われていたから、今みたいにすぐ考え事をしてしまう私に言い聞かせてるんだろうなあと思っていた。でも、それだけじゃなくて、異性も家族も友達も、全部含めて「自分だけ見て欲しい」だったのか。
「ごめんなさい、もう連絡忘れないから……」
「当たり前だ。次は絶対許さない」
そう言って、宮燈さんが触れてくるから、声を出さないようにと口を手で押さえた。体全部が気持ちよくて頭がぼんやりしてくる。時々肌を強く吸われて、腰がびくっと跳ねる。また何も考えられなくなってきた。
「んっ、んっ……それ以上しないで、声が、我慢出来ない」
「人が来てもいいのか?」
「んん、だめ……だめっ、ああっ!」
うつぶせにされたからそれ以降はシーツを噛んで耐えた。背中も脚にもキスマークをつけられて何だか全身が痛い。太腿とか嫌だったけど、宮燈さんは私が痛がってるのを悦んでいた。
おかしくなりそうな位に全身を愛撫された。恥ずかしいけど、私の体で宮燈さんの指と舌が触れてない部分はもうない。
「もう、無理。早く……みやびさんとしたいよう……」
我慢できなくなった私がお願いすると、宮燈さんは無表情のまま体を起こす。一瞬笑った気がした。
「お仕置き。そのままで待ってろ」
そう言い残してシャワーを浴びに行ってしまった。
え、ここで放置……? 酷い! 鬼畜!!