わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)
宮燈さんの前髪が揺れる。無表情の宮燈さんに、さらに奥まで攻められた。私の耳元に顔を寄せて宮燈さんが言う。
「私はもう寝るから。お疲れ様」
『あ、はい! お疲れ様です、橘部長』
「ひっ…………ん!」
だめ! きっと聞こえた、今の。
手で口を塞いで息を飲んでるから、さっきから全然まともに呼吸出来てない。それなのに宮燈さんは奥に奥にと攻め立ててくる。律動に合わせてシーツが擦れる音が聞こえてそうで怖い。自分の体が動かないようにぐっと肩に力を入れたら、奥に与えられる快感を逃がせなくて思わず声をあげそうになった。
もうむり! 苦しくて体がぶるぶる震えてる。いく。いや。
『……橘部長?』
「何かな?」
耳元で囁く宮燈さんの艶っぽい声に、私はゾクゾクしていた。波が押し寄せてきて耐えられない。
『……いえー……夜分にお邪魔しました……』
プツンと電話が切れたあと、私は絶頂した。
「んーーーっ!」
ぴったりくっついて自分自身が痙攣するように動いてるのがわかって、宮燈さんも中で脈動したのを感じた。脱力して、口を押さえていた手がぱたんと顔の横に落ちて、そのまま私の意識も落ちそうだった。
「あ……はぁ……ぁっ……」
私は、意味をなさない言葉を発しながら浅い息を繰り返していた。頭がおかしくなりそうで、夫を一発殴っとこうと思ったけど、全然力が入らない。くったりしてる私の体を抱きかかえて無表情のまま宮燈さんが言った。
「ずっとヒクヒクしてたな」
「はっ、はっ……はっ……はぁ…………こんな、事、しないで……!」
「こんなこと?」
「どう考えても、気づいてたでしょ……最後、『お邪魔しました』って! こんな状態で電話とか酷い!」
「桜は大丈夫」
また、根拠のない自信。何が大丈夫なの!?
「みやびさん、林さん……多分何か気づいてる……ああっ!」
いったばかりなのに。敏感になってるから苦しいくらいに感じていた。遠慮なく激しく攻められて、あっという間に落ちていく。
「大丈夫じゃないのは私の方だ」
「ああっ、あぁ!」
「桜……声が大きい……」
「んっ……ふっ、ごめんなさいっ……んっ……ん……」
腕で口を塞いだけど、きっと火照った顔してる。もうやだ。何も考えられない。悔しい。
「感じてるのを我慢してる桜が可愛くて、喘がせたくて堪らなかった」
「んっ……ん……」
宮燈さんに欲のままめちゃくちゃにされて、舌と指を絡め合ってまた二人で絶頂した。情欲に負けた自分自身にもドン引きした……。