わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)
「絶対に声を出すなよ」
そう言って下からぐいぐいと突き上げてくる。苦しかったけど、潤んでる私はすぐに慣れて飲み込んでいった。起きたばかりだし体はあちこち痛いのに、また求めてしまう。
私は声を出さないように我慢しながら、自分の体を上下に揺らした。宮燈さんに教えられた通りに、全身を使って自分が気持ちいいように。ベッドがぎしぎしと音をたてるから、恥ずかしくて気持ちよくてのぼせてしまいそう。
私の中でどんどん大きくなっていくから「宮燈さん、気持ちいい?」と聞いてみた。宮燈さんはそれには答えずに、半身を起こすと、私の腕を掴んで自分に引き寄せてキスをした。体をぴったり重ねて、私はまた何も考えられなくなっていく。
私の背を支えて、今度は宮燈さんが上になる。仕事なんか行かなくていいのに。いつまでも二人きりでこうしていたいのに。
この世界には私と宮燈さんしかいない。ずっと二人きり。
声を殺して無言のままに激しく愛欲をぶつけあって、昇りつめていく。ぎゅっと抱き締めてもらえてうれしかった。
体を離すと寂しくて、思わず言ってしまった。
「私、いつか、宮燈さんの赤ちゃん産みたいです」
私の言葉に、夫が目を見開いた。表情筋は動いてないのに、頬に朱が差すからびっくりした。それがおかしくて、つい笑ってると宮燈さんは顔を背けた。
「その時は、私も育児休業を取るから」
それだけ呟いて宮燈さんはバスルームへ行ってしまう。残された私は嬉しくて恥ずかしくて、枕に顔をうずめてしばらく悶絶していた……。