永遠に咲け

夕食後、永久は中森を部屋に呼び出していた。

｢永久様、何か？｣
｢これ！｣
永久は中森に咲愛から贈られた、ネックレスを見せた。
｢は？｣
｢なんで、これにしたんだ？｣
｢だから、お二人で身に付けるには一番無難かと……
正直、永久様にピンクは似合いません｣

｢私の愛は生きていますって、お前のことだろ？｣
永久はまっすぐ中森を見据えて言った。
中森も目をそらすことなく、永久を見ていた。

永久は眉目秀麗と言う言葉がぴったりな、綺麗な容姿をしているが、ヤクザ組織で若頭をしているせいか雰囲気はかなり恐ろしい。
なので、たいていの人間は永久に見られると目を反らしたり、怯えたりする。
使用人の中でも、黒谷と中森位しか永久をまっすぐ見れない。

｢はい……
僕は、咲愛様をお慕い申し上げております｣
｢だろうな。ずっと見てたからわかる｣
｢どうするおつもりなんですか？
このままいても、咲愛様は幸せになれません。
ずっと、陰で生きていかれるんですか？｣
｢そうだな。
でも、放れるなんてできねぇんだよ…！？
ただ…傍にいられたらいいんだ。
それ以上は何も望まない｣

｢あ……｣
不意に、咲愛の言葉が重なった。

【私達は、ただ傍にいたいだけだよ。
それ以上は、何も望まない。
それに、一緒にいれないと幸せになれない！】

｢あなた方は、やはり同じなんですね……｣
｢は？｣
｢咲愛様も、永久様と全く同じ事をおっしゃってました。
ただ…傍にいられたらいいって｣
｢そうか……｣
｢でも、僕は諦めません。
もう…お話はよろしいですか？
では、失礼いたします！｣

中森は静かに、永久の部屋を去った。
そして中森はドアを後ろ手に閉めて、天井を見上げた。
永久に言われた通りだ。

中森は、嫉妬していた。