永遠に咲け
屋敷に帰った、咲愛。
部屋で、雑誌を見ていた。

「景色綺麗~!
あ、美味しそう!」
「ほんと、美味しそうですね!」
「え?中森さん?」
いつの間にか、中森が近くにいて雑誌を覗き込んでいた。

「すみません、お声をかけたんですが……
雑誌に集中されていたみたいで……」
「あ…ごめんね…」
「里花さんと行かれるんですか?」
「え?いや…お兄様と行きたいなって……」
「そうですか…」
「……??中森さん…?」
「あ、いえ…すみません……」
「やっぱ…ダメだよね……」
肩を落とす、咲愛。

「いえ…一緒にお出かけする位なら、大丈夫だと思いますよ」
「うん…あ、中森さん!
ちょっと見てほしいんだけど……時間大丈夫?」
「はい、もちろん!」

一度部屋から出るように言われ、ドアの外で待つ中森。
「中森さ~ん!どうぞ~!」
「はい、失礼します」
「━━━━━!!」
「フフ…どう?
これを着て行こうと思ってるの!」
あまりの美しさに、中森はただ…咲愛を見惚れていた。

「………綺麗だ…」
「え?
ごめんなさい、聞こえなかった」
中森の方に寄って、中森を見上げた。
咲愛の甘い香りがフワッと香って、中森の理性が壊れそうになる。

無意識に咲愛の頬に触れる、中森。
「中森さん……?」
中森の手がそのまま、咲愛の口唇に触れなぞった。
「え……嫌…!」
咲愛が中森を押し返す。

「あ…も、申し訳ありません!
咲愛様が、あまりにも綺麗で……」
「ううん…」
「………とても、お綺麗です。
きっと…永久様もそう言って下さいますよ」
そう言って、部屋を出た中森だった。
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