永遠に咲け
「春見さん、あなた…色々間違ってます。
この方は、大河家のご令嬢で永久様の姪御様です。
本来ならあなたのような人が、お話しできるような方ではありません。
しかも、お名前を呼び捨て等……
許されませんよ!」
「す、すんません!!」

咲愛はただただ、驚いていた。
とても冷静なのに、恐ろしい程の怒りが中森に漂っていた。

「中森さん、やめて!」
咲愛が中森の手を掴むと、ゆっくり離した中森。
「春見さん、今後…咲愛様への態度は改めて下さいね」
「は、はい!」

「中森…さ…?」
「はい」
いつものように微笑む、中森。
「中森…さん、だよね…?」
「はい、そうですよ」
咲愛の頬に触れようとする、中森。
触れる寸前で、ピクッと身体が震える咲愛。

中森の手が、宙で止まった。
「咲愛様……?」

「お疲れ様でございますっ!」
突如、組員達の声が聞こえた。
「あ、若!
お疲れ様でございますっ!」
ドアが開き、永久が入ってきた。
春見もバッと立ち上がり頭を下げ、挨拶する。

「ん。
………え?咲愛?」
「あ、お兄様!」
咲愛は永久の元に駆け出し、抱きついた。
「咲愛、なんでこんなとこに……
それに、どうしたの?
震えてる……」

「若、すんません!
俺が、咲愛様に話しかけたから」
「春見が?」
「若……」
鋭く春見を睨む、永久。
その何とも言えない雰囲気を肌で感じる、咲愛。
それは中森の恐ろしさよりも、更に重苦しく圧迫感があった。

「違うの!
私が震えてるのは……」

「僕のせいですよね?」
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