傲慢?ワガママ?悪役令嬢?それでかまわなくってよ!~聖女の力なんて使ってやるもんですか!!
それから更に二日が過ぎ、王はあれから激怒する様子も無く、セリカ達は胸を撫で下ろしていた。ファルロ殿下は相変わらず優しくセリカに接してくれていて、セリカの心に甘い恋の花を咲かせようとしていた。
その日の夜、突然王が王都へ帰ると言い出した。余りにも急な話だったがセリカ達は安堵していた。
良かった。
何事も無くこのまま王都へ帰っていただければ……そう思っていたのに……。
何故か外の騎士達が物々しい雰囲気に包まれていた。
どうしたというの?
何かが起きようとしている?
部屋で休んでいたセリカの元に侍女が駆け込んできた。
「大変です!!王様がとてもお怒りになっていて……お嬢様どうしましょう」
「とりあえず下に行くわ」
セリカは急ぎ一階へと降りていくと、リビングで王が大きな声を張り上げていた。
「お前達はこの王の言うことが聞けぬと言うことか?」
「陛下、どうか私達からセリカを奪わないでいただきたい。聖女の力は……」
「その話は聞き飽きた!!」
叱責する王の前に行こうとセリカが足を前に踏み出そうとしたところで、ファフロに止められてしまった。
ファッ……ファルロ殿下?
首を横に振るファルロ。
「ファルロ殿下、どうか陛下に怒りを静めるようにお話し下さい」
ファルロが再び首を横に振った。
口は出せないと言うことなの?
そこで王が机を叩き大きな音をたてたため、セリカの肩がビクッと大きく跳ねた。
「話にならん!!仕方ない……お前達には消えてもらう」
な……に……。
今、なんて言ったの?
消える?
チラリと王がこちらに視線を向けた。
セリカにではなくファルロ殿下に……。