傲慢?ワガママ?悪役令嬢?それでかまわなくってよ!~聖女の力なんて使ってやるもんですか!!
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オウガはセリカが食べるのを満足そうに眺め、少しずつセリカの体に付いてきた肉感的……(いや違う、いやらしい意味ではない)に喜んでいた。栄養不足で青白かった顔も赤みがさすようになってきた。
ハムハムと一生懸命食べる姿は小動物のようだ。
食事を運ぶようになってからセリカ様は俺には悪態をつかなくなってきた。時々顔を赤くしながら悪役を演じようとする姿が可愛らしい。
そして今も……。
「オウガ、一緒に行きたいなら付いてきても良いわよ」
これは一緒に来て欲しいとき。
「オウガ、不味そうだから食べてみなさい」
これは食べたいから一口食べて。
「こんなことも出来ないの?」
何かをしてほしいとき。
セリカ様の裏に隠された言葉の意味が分かるようになってきた。それが何だか嬉しくて、かまっているとプイッと何処かへ行ってしまう。
可愛らしいその様子に「ぷくくっ」と笑いを堪えてみるが、思わず笑ってしまい、それを見たセリカ様が顔を真っ赤にして怒ってくる。
それは意外にも穏やかな時間だった。
こんな時間が続いてくれればと思う。
これ以上セリカ様が辛い思いをしないようにとオウガは願っていた。