傲慢?ワガママ?悪役令嬢?それでかまわなくってよ!~聖女の力なんて使ってやるもんですか!!
「オウガ戻ったのね。最近王からの呼び出しが増えているわね。王は何か言っていましたか?」
「…………」
オウガの顔が歪むのをセリカはジッと見つめ、溜め息を付いた。王が何を言ってきたのかは大体想像が付く。
「聖女の力を使うように言われましたか?」
「…………」
だまり続けるオウガにセリカはもう一度溜め息を付いた。
「オウガごめんなさい。私があんな話をしてしまったばかりに、あなたを苦しめてしまっているのね?」
聖女の力は神が与えたもうた奇跡の力ではない。悪魔からの死のギフト……。先日私はオウガに聖女の力の秘密を打ち明けていた。そのせいでオウガは今、苦しんでいた。
「セリカ様、俺はあなたを守りたい。命に代えても……俺と一緒にここから逃げませんか?」
オウガと一緒に逃げる?
ここから?
それも良いかもしれない。
本当にそれが出来るのなら……。
「ふふふっ。オウガもそんなことは無理だと言うことは分かっているのでしょう?そんな顔をして」
セリカは奥歯を噛みしめ、悲痛に歪むオウガの頬にそっと触れた。
「オウガありがとう。そんな風に考えてくれて、大好きよ」
紫水晶の様に美しい瞳でオウガを見つめれば、オウガは更に顔を歪め今にも泣き出しそうに瞳を揺らした。私の存在はこの国に、世界に、混乱を招く。