傲慢?ワガママ?悪役令嬢?それでかまわなくってよ!~聖女の力なんて使ってやるもんですか!!
聖女の涙
*
一体何なんだ……。
どういうことなんだ?
オウガは奥歯を噛みしめると、より深く眉間に皺を寄せていた。
今日もいつもと変わらず男たちを侍らせ、贅沢三昧のセリカに辟易していた俺だったが、一人の侍女の行動のせいで事態が一変する。
ゼリーをやたらとセリカに食べさせたがる侍女の姿に、オウガも眉をひそめた。そろそろセリカが怒り出すのではと思っていると、案の定セリカは侍女の手に持っていたスプーンを扇で叩き落とした。そんなことはよくあることのため黙って見守っていたが、今日はセリカが自らスプーンを持ちゼリーを口に運ぼうとしていた。オウガが今まで護衛をしてきて、食べ物を口にする様子を見るのは初めてだ。オウガがその様子をジッと見つめていると、スプーンは隣で見ていた侍女の口へと滑り込んでいた。
なぜ侍女に?そう思った時には事態が激変していた。
ゴクリと喉を鳴らしゼリーを飲み込んだ侍女が突然呼吸を荒げ苦しみだしたのだ。
まさか毒?
そう思ったが命に別状はなさそうだ。セリカはその状態を見るなり高笑いを始める。