傲慢?ワガママ?悪役令嬢?それでかまわなくってよ!~聖女の力なんて使ってやるもんですか!!
*
「オウガーー」
セリカの声が頭の中にこだまする。
ゆっくりと瞼を開けると、そこには自分をのぞき込むセリカの姿があった。
愛しい。俺のセリカ……。
ああ、生きていた。
自分も、セリカも生きていた。
オウガは自分の名前を呼び、涙を流すセリカに両手を伸ばし、しっかりと抱きしめ安堵した。
よかった……そう思ったのも、つかの間だった。回りを見渡せば、何処までも続く白い世界。
一体ここは……?
それに自分たちを見守るように立っているこの人は……?
『オウガ、目覚めたようですね?体の不調はありますか?』
頭の中に直接ひびいてくるその不思議な声にオウガが驚いていると、セリカが嗚咽を我慢しながら説明を始めてくれた。
「オウガっ……、ッ…このっ……方はっ……女神っ……リレイニアっ……様っ……です」
「リレイニア様?女神の?」
セリカの嗚咽まじりの説明にリレイニアは微笑みながら答えた。
『私はリレイニア、セリカ説明ありがとう。もう大丈夫ですよ。オウガそれで体の方は?』
「あっ、はい。大丈夫です。それでここは?私達は死んだのですか?」
『ここは時間と空間の狭間、ここは時間を要しない。そしてあなた達は死んでも生きてもいない』
「それはどういうことですか?」
『肉体は現実世界にあります。今は魂だけがこちらにある……といったところですね。心配しなくても大丈夫ですよ。きちんと元の世界に返してあげますから』
死んではいない?
元の世界に帰れる。