傲慢?ワガママ?悪役令嬢?それでかまわなくってよ!~聖女の力なんて使ってやるもんですか!!
セリカがオウガに話しかけようとしたその時、エリアノ陛下の後ろから「くくくっ」と笑いを堪える声と共に一人の人物が現れた。
金の髪にキリッとした澄んだ瞳、瞳の色は藍色だけど……。
あれ?
この人……。
「聖女様、お初にお目にかかります。私はリアン・ディスタール、オウガ兄さんがお世話になってます」
「兄さん?……えっ……オウガの弟さん?」
わたしの反応にコクリと頷くオウガ。
似ていると思った。
体格は騎士をしているオウガの方が大きくてしっかりしているけど、顔のパーツがそっくり。人前であまり笑わないオウガと違って、リアンはニコニコとよく笑っている。性格はかなり違うのかも……。
「兄さんのそんな顔、初めて見ましたよ。よかったらもう一度、俺から説明しましょうか?」
セリカはその言葉にコクコクと頷いた。
そしてその説明にセリカは驚愕する。
それは……滅亡すると思っていた、このアイド二ア王国の王にオウガが、そして王妃に私がなると言うものだった。初めこそアイド二アは滅亡させ、アリエント王国とするつもりでいたようだが、国が大きくなりすぎても、回りの国々との均衡を考えるとよくないと言うことで、新たな王を立てることにしたとか……。
そして声が掛かったのが、この国を平和に導いた英雄オウガと、人々を癒やした聖女であるセリカにと言うことだった。
「セリカこの話を聞いても、俺と共に生きてくれるか?」
未だに青い顔をしているオウガが、眉を寄せこちらを見ている。
オウガの体が一回りも、二回りも小さく見えるよ。
動物なら、キューンて泣いてるんだろうな。
やだ、何これ……。
かわいい/////
……って、今はそれどころではない。オウガの気持ちに応えなくちゃ。
「私がこの国の王妃だなんて、務まるのか不安はあります。でも……私はオウガと共に生きたいのです。私と共に生きてくれますか?」
そんなセリカの問いにオウガが嬉しそうに微笑む。
「ああ、我が命はセリカと共に」
そう言って、オウガはセリカに忠誠を示す騎士の礼を取った。