傲慢?ワガママ?悪役令嬢?それでかまわなくってよ!~聖女の力なんて使ってやるもんですか!!
「新王国万歳!!新国王様、王妃様万歳!!」
自分たちを迎え入れてくれた民衆達の声が溢れている。
うれしい。自分たちのために集まってくれた人々。オウガがスッと右手を上げると、歓声に沸いていた人々が沈黙する。
「今日は新王国アイドレイニアの誕生と私、新国王の戴冠式が無事に終わってことをここに報告する。私オウガ・ドル・アイドレイニアはこれからこの国を住みやすい良い国となるよう、王妃と共に導いていきたいと思う。そのためには民衆皆の力が必要だ。俺について来てほしい。よろしく頼む」
そう言ってオウガは頭を下げた。
今まで、王族が頭を下げる国があっただろうか?いや、ないだろう。しかし、オウガは躊躇わなかった。もともと自分は騎士だ。王族ではないのだから、平民の立場に立って向き合えるはず。今は皆が手を取り合い国を立ち上げていかなければいけない。その思いから頭を下げた。
そんな国王の姿に民衆達は息を飲んだ。そしてこの国王についていきたいと強く思い、歓声を上げた。
「新国王様さまーーあなたについていきます!!」
「国王陛下万歳!!」
止むことのない歓声。
隣に立つオウガの眩しさにセリカは目を細めた。他人を思いやることのできる人、この人は賢王となるだろう。私もついていきますよ。セリカはそう思いながらオウガを見上げた。
「ほら、セリカも何か言ってやれ、皆がセリカの言葉を待っているぞ」
えっ……。
うそ、私も?
セリカが一歩前へと出ると、また民衆がわっと沸いた。
「新王妃様!!聖女様!!」
聖女……。
私にはもう聖女の力はない。
「皆に言わなければならないことがあります」
セリカの言葉に辺りはシンと静まった。一体王妃は何を言うのかと固唾をのんて見守る民衆達。
「私はあの日、聖女としての力を全て使い果たしてしまいました。そのため皆を癒す力はもうありません。……それでも私は、皆さんと共に、陛下と共に、この国を支えていきたいと思っています」