傲慢?ワガママ?悪役令嬢?それでかまわなくってよ!~聖女の力なんて使ってやるもんですか!!

 気づくと俺は温かい毛布にくるまれ、見知らぬ部屋に寝かされていた。

 一体ここは?

 首だけを動かし辺りを見回していると、俺を見た人間の子供達が叫んだ。

「ママー!ワンちゃん起きたよ!」

「ワンたん、おっきちたのー!」

 その声に慌ててやって来た人間に視線を向け、俺は驚愕した。



 セ……セリカ嬢?!


 そこには、前世の記憶にあるよりも、少し大人びたセリカ嬢の姿があった。白銀の髪に紫水晶のように美しい瞳……。


 セリカ嬢だ。


 セリカ嬢は微笑みながら俺の前に座ると優しいく頭を撫でてきた。その優しい手つきに喉から自然と声が出てしまう。

「クゥーン」

 初めて出す、自分の声に戸惑った。

 俺は、なんて声を出しているんだ。

 しかし、自分を撫でるその手の心地よさに声は止まらまい。夢中でその手にすがっていると「ただいま」と言う声と共に誰かが帰ってきた。子供たちが嬉しそうに帰って来た人間に飛びついている。

「パパー。おかえりなさい」

「おかえりなたい」

 帰って来た人間の顔を見た俺は再び驚愕する。



 オ……オウガ!!



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