傲慢?ワガママ?悪役令嬢?それでかまわなくってよ!~聖女の力なんて使ってやるもんですか!!
よく見れば、俺の回りをピョンピョンと飛び回っている子供たちの特徴は、二人にそっくりだった。
長男の蓮(れん)と呼ばれた少年は金色の髪に紫水晶の瞳で、妹の唯(ゆい)と呼ばれた少女は銀の髪に透き通るような青い瞳をしていた。二人の子供であることは間違いない。
幸せそうで良かった。
その見るからに幸せそうな家族の姿に俺は安堵した。
「パパーいいでしょー?ワンちゃん、かいたいよ」
帰って来て早々に子供達のおねだりを聞いているオウガらしき人間が、ネクタイを緩めながら膝を折り、子供達と目線の高さを同じにすると真剣な顔で話し出した。
「犬はおもちゃではないんだよ。生きているんだ。わかるか?毎日の散歩や食事、ブラッシング、やることは沢山ある。きちんと世話ができるか?」
いつになく真剣な父親の様子に、子供達はその言葉を真剣に聞いてる。子供なりになりに一生懸命考えているのだろう。少しの間沈黙が流れ、蓮が元気な声で答えた。
「ぼく、がんばって、おせわするよ」
「わたちも、おにいたんと、いちょにがんばる」
まだ舌っ足らずな唯も一生懸命に訴えてくる。二人の可愛い子供達からの真剣なお願いに、凰雅は頬を緩めた。
「そうか、わかった」
父親からの許しがおり、子供達が嬉しそうに犬の回りを飛び跳ねた。
「ワンちゃんの名前どうするー?」
嬉しそうな子供達を見つめ、俺は呆然としていた。
ここで暮らす……?