強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
失恋した時、私の頭を撫でてくれた大きくて優しい手。

元カノを撃退するために彼女のフリをさせられた時、ホテルでされたキス。

水溜りで一緒にはしゃいだ時の笑顔。

部長の看病をした時に見た、無防備で子供みたいな可愛い寝顔。
  
非常階段での、2度目のキスー。

一緒にいる時間が積み重なり、それら全てが合わさって私は知らず知らずのうちに、部長のことを好きになっていたんだ。

……向井のことが、いつの間にか過去になってたことにも気付かずに。


「……違う。違います、部長…!」

私は咄嗟に立ち上がり、エレベーターに乗り込もうとする部長の手を掴む。

驚いて振り返る部長に、私は一気に捲し立てた。

「…私が今好きなのは向井じゃない。部長なんです!」


部長の真後ろで無人のエレベーターのドアが閉まり、ウィーン…と下降していく。


大きく見開かれた部長の黒目がちな瞳。
< 100 / 158 >

この作品をシェア

pagetop