強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
「いやいや、キレイなんてそんな…」

…これ、一度やってみたかったやつ。

普段私の周りには私のことをオヤジだとか(主に向井)、揶揄うために可愛いだとか(主に部長)言う奴らしか存在しないから、この謙遜ってやつ、一度やってみたかった……!

例えお世辞でもいいの!

なんて思っていたら。

「ん、俺の彼女。キレイでしょ?」

とか部長が予想外にさらりと言うもんだから、赤面してしまった。

絶対「ばか、お世辞だよ、間に受けんなよ」とか揶揄われると思ってたから。

おばちゃんもおばちゃんで、

「おやまぁ、ノロけちゃって〜!ご馳走様!あっちの席空いてるよ!」

と部長の背中をバシバシ叩いている。

促されるがまま端のテーブル席に腰を落ち着けた私は、何にする?と部長に差し出されるメニューに目を落としながらもなかなか顔の熱を引っ込められずにいた。

「何で顔赤いの?」

部長にまじまじと覗き込まれ、あなたがキレイとか言うからですけど!と反論すると、

「…ほんとのことだし。俺の自慢の彼女」

と優しく目を細めて言うから、これは揶揄われてるんじゃない、本当に思ってて言ってるんだと理解する。
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